6月16日(金)に開催しました月例会にご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました!
会場18名、オンライン13名のお申込みをいただき、会場からもオンラインからも質問が出るなど、活発な会となりました。
月例会内容抜粋
【講演テーマ】「楽しさ 分かち合う」
【講師】きみづかエイチアールイー株式会社 代表取締役社長 君塚 乾太郎 氏
- 45歳、花巻市出身
- 2000年の3月、大学卒業後に父が経営する会社に就職し、跡継ぎとして活動することになった。
- 当時、業務用食器や調理道具の販売が主力であり、木製食器の製造は外部委託されていた。
- 父は、製造業は斜陽産業であり、営業の時代だと考えていて、自身もその考えに疑問を持たずに営業として活動していた。
- 5年後の2005年12月に会社が倒産した。当時自身は従業員。
- 自負心もあり、従業員の生活や顧客、商品の仕入れ先を考え、2ヶ月後の2006年の2月にきみづかエイチアールイー株式会社を起業。
- 起業後、最初に行ったことは、以前の仕入先に対して自身の商品の仕入れを依頼したこと。
- 一部の企業からは協力できないと言われたが、ほとんどの仕入れ先から了解を得られた。
- 尊敬する経営者との出会いがあり、経営者になるためにどのようにすればいいかを質問し、「誰よりも勉強をすること」を教えられた。また、経営者として学ぶべき場所として「アタッカーズビジネススクール」のアントレプレナーシップ講座を紹介された。
- 学友との交流を通じて自分の視野が広がり、目の前のことにとらわれずに考えられるようになった。
- 父からは木製食器の製造は斜陽産業と言われていたが、自分は製造をやりたいと思うようになり、2010年に製造を開始した。
- 試行錯誤しながら自分たちの手で商品を作り始め、その喜びを感じていた矢先、東日本大震災が発生した。
- 弊社の主要取引先が震災の影響を受け、売上が低下したが、木製食器の販売を展開していたびっくりドンキーの支援により、存続の危機を救われた。
- 2013年に妻が入社し一緒に働くようになった。
- 製造や経理など新しい仕事に妻が慣れていき、仲間も増えた。
- 株式会社ギャルドブレインの中坪さんと出会い、パーパス(組織や企業の存在意義や目的)やクレド(組織や企業が持つ価値観や信念、行動指針を示すもの)、CI(Corporate Identity:組織や企業の独自性やアイデンティティとしてのロゴやブランド等の要)、ウェブサイトを作成した。
- パーパス「楽しさ分かち合う」は2022年に誕生した。
- 分かち合いの思いを大切にし、今までの関係者や今後の出会いに対しても同様に接したいと考えている。
- 財産形成は重要で、長期的な視点で取り組むべき。
- 財産形成の学びは、お金を増やす方法だけでなく、じっくり育てていくことも含む。
- 成果は保証されないが、計画を立てて長期的に取り組むことが重要。
- 急速な成長よりも、確実に着実に積み上げる方が良い。
- 堅実な経営手法は起業にも適用できる。
- 自社製品の開発に取り組んでおり、Apple社の充電器を美しく見せるお皿を発明したところ。
- 新商品は開発がほぼ完了し、年末には発売予定。
質疑応答
Q: 長く生き残る強さや創業の意義について、父は影響しているのか。
A: 自分がやりたい方向性が形成された要因の一つ。会社の活動において地域の方と協力する取り組みがあり、木工所の再稼働時に近所の方から応援されたことが大きな励み。地域の人々からの支持があったことで、再開したことへの賞賛の声につながった。
Q:どのように相談相手を見つけるのか。また、大学で学んだことが現在の仕事にどのように生かされているか。
A: 相談相手に関しては、法テラスなどを通じて無料相談を利用し、弁護士との相談を行った。感情に左右されず客観的なアドバイスをもらえることが助けになっている。また、大学で学んだことについては、工業デザインを専攻しており、特にコンピュータやmacの使用経験が役立っている。macを使ってデザインや映像編集などを行う際に、基礎的な知識やスキルが生かされている。
Q: 20代から40代までの間に意識的に行っていた自己投資や現在も行っている自己投資はあるか。
A:アントレプレナーシップ講座、英会話、リーダーシップの研修を行ってきた。特にリーダーシップの研修では、年配の従業員との関係や指導に悩んでいたため、自身のリーダーシップスキルを向上させるために受講した。そこで学んだのは、リーダーは全てをできるわけではなく、自身が得意な部分をリードする一方で、得意な人にフォローを任せることが重要であるということ。その経験から、頼れる部分は頼る姿勢を持ちつつ、自分ができることには積極的に取り組むことが大切。このような学びを日々実践していることが、自己投資の一環となっている。
Q:2006年に企業を始め、2010年から木製の食器を手作りで製造していると伺ったが、手作りにこだわっている理由、今後の事業展開や職人の教育についてどのようにお考えでしょうか。
A:素材を仕入れて手作業で食器を製造している。手作りのこだわりと機械化の関係は密接であり、情報収集を通じて自動化にも興味があるが、刃物の取り扱いや商品の多様性によって、手作業が避けられない部分がある。現状では手作業の方が早く、手で削ったり磨いたりする作業は機械には代替できる見込みが立っていない。機械化の費用や設備に関しても考慮しながら、現時点では手作業が効率的な方法と考えている。
参加者アンケートから
●原体験や若い時の思いを交えてお話しいただけたので参考になりました。
●考え方や前向きな姿勢が参考になりました。参加して本当に良かったと思います。
●倒産を経て、再起業したところが参考になりました。
●周りと協力することの重要性や、行動する時は案外、勘のようなもので動いていた等のお話が参考になりました。
●地元の希少な起業家とそれを買う同じ地元の事業者を見つけていただいたことに深く感銘を受けました。このような地産地消の取組みは他の業界や他の地域でも多いに参考になると考えます。
●木製食器の全作業工程を行う企業は無いことがとても意外でした。また燻製乾燥の意味も分かりました。その木製食器の価値を理解して使うびっくりドンキーの経営者を尊敬します。
次回月例会
日時:7/21(金)18:00~19:30
会場:コラボMIU(盛岡市産学官連携研究センター)&zoom
講師:株式会社北三陸ファクトリー 代表取締役CEO 下苧坪 之典 氏
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